日本一周71日目〜映画コラム🎥②『風の谷のナウシカ』〜
ジブリ作品で一二を争う程好きな作品だ。ちなみに、『もののけ姫』といい勝負。
ストーリーや作画の素晴らしさは当たり前なので、今回はナウシカという人物に焦点を当てていく。映画だけでなく漫画の話も少ししてしまうかも。
ナウシカは辺境の自治国「風の谷」の族長の娘です。聡明な父を見て育ち、本人もまだ若く不安定ながらも気高く思慮深い人物であるといえる。
彼女の人格を説明する上でポイントとなるのは2点
・慈愛
・自己犠牲
ナウシカがボインなのは死にゆく人を抱きしめる為だと宮崎駿が言ったとか言わなかったとか…。とにかく彼女は母性に満ち溢れ、人を虜にする。彼女の何倍も生きている城オジたちでさえ、ナウシカを時に母のように崇める。
そして自己犠牲。顕著なのは映画ラストシーンでだ。死ぬとわかっていて暴走する王蟲の群れの前に出て、谷を守ろうと立ち回った。
慈愛と自己犠牲。なんか聞いたことがあるセットフレーズだ。
ナウシカはマリアとキリストの要素を併せ持つよう描かれているのだろう。
実際彼女の性格だけでなく、王蟲の体液に染ったナウシカの服はマリアの青い服を連想させる。また、王蟲の群れに巻き込まれ死んだと思われたナウシカが復活を遂げるシーンはキリストの復活を思わせる。
では何故、彼女にこのような神々しさを付与したのか。それは恐らく、ナウシカこそが「青き衣の者」で人類を導く存在だと(実際どうであれ)示唆する為だろう。
映画では、ナウシカは神々しいまま終わりを迎えられたが、漫画ではそういう訳にはいかなかった。最初こそ神々しさ全開であったナウシカも次第に人間臭くエゴイスティックな女である事が顕になっていく。
漫画のラストシーンである墓所での決断は賛否が別れるシーンだ。ナウシカは生物を創り出しコントロールしようとする墓所の思想に憤慨し、人類の未来諸共破壊してしまった。「生物は生かされる存在ではない」というナウシカの考え方も理解できるが、自分の思想ゆえに人類という種の破滅を(ほぼ)決定付けてしまうとは、なんと愚かで人間らしいことか。
『風の谷のナウシカ』とは、無垢な少女が旅を経て穢れた大人の女になっていくという話でもあるかもしれない。
(執筆者︰おもち)